・食べ物を口に入れる
・口の中で咀嚼する
・飲み込む
といった「食べる」ための一連の動作のことです。
摂食嚥下障害とは、このような動作がスムーズに行えず、 食事中にむせてしまう、食べ物を飲み込むことだけでなく、 口の中に入れることや、噛むことさえできなかったり、 認知症のために「食べる」ことさえ認識できない状態を言います。
摂食嚥下障害が疑われる場合、いくつかの観察ポイントがあります。
- 流涎(よだれを垂らす)
- 食事時のむせ、咳き込み
- 喉に食べ物が引っかかる感じ
- 食後の嗄声(声が嗄れる)
- 飲み込みに時間がかかる
- 鼻への飲食物の逆流
- 食事時間の延長(1時間以上)
- 口腔内に食物が残る
- 肺炎(発熱)を繰り返す
といった「食べる」ための一連の動作のことです。
これらのポイントは在宅介護でも簡単に判別できる具体例です。
ただし、具体的にどの部位に障害があるかで対応は変化します。 咽頭期障害が明らかとなれば嚥下食対応などが必要になりますが、準備期障害ではまず口腔内の環境を改善することが重要となります。
ただし、具体的にどの部位に障害があるかで対応は変化します。 咽頭期障害が明らかとなれば嚥下食対応などが必要になりますが、準備期障害ではまず口腔内の環境を改善することが重要となります。
これはアメリカの例ですが、摂食・嚥下障害と判断された患者のうち、純粋に咽頭期障害が原因であったものは20%程度で、
咽頭機能障害と口腔の機能障害の合併、もしくは純粋に口腔の機能障害のみが原因であったものは残りの80%で、
口腔機能障害単独で原因であったものは約50%であるという報告があります。
欧米人と日本人では骨格等も差があり単純に比較することはできないのですが、
これでも準備期障害が原因となって生じている摂食・嚥下障害が多くの割合を占める可能性が示唆されます。
つまり、嚥下障害と診断されて嚥下食に移行した方や、誤嚥性肺炎を疑われて経管栄養に移行した方でも、
単純に口腔機能の問題で、咀嚼機能等を改善させる対応だけで済む方も多いのではないかと考えられます。
「口腔の役割」という項で述べていますが、嚥下食、経管栄養へと移行することは、
人間として生きることの質を大きく低下させてしまうことも意味します。
よくよく観察して準備期障害が主な原因と考えられる際には、可能な限りの障害因子を除去、 改善することで摂食嚥下機能が改善できるかもしれません。
よくよく観察して準備期障害が主な原因と考えられる際には、可能な限りの障害因子を除去、 改善することで摂食嚥下機能が改善できるかもしれません。
食材メニューへの配慮
食前の充分なウォーミングアップが誤嚥防止に効果的です。食べる直前に準備体操をします
食事の時に使う筋肉をウォーミングアップし誤嚥を防ぎましょう。
- 遠く(横隔膜)から近く(舌)へ向かってほぐしていく。
- 麻痺のある部分だけ、重点的に行ってもよい。
- 基本的には食前に行い、それ以外の時もどんどんやりましょう。
- 1.深呼吸
- 横隔膜をしっかり広げた状態の姿勢をつくる
- 2.肩の運動
- 肩を上げたり、下げたり、回す事を組み合わせる。
- 3.首の運動
- 首を横方向、縦方向に動かす。徐々に関節可動域が広がってくる。
- 4.頬筋
- 頬を膨らませたり、すぼめたりを繰り返し、頬筋をほぐし、リラックスさせる。
- 5.口唇
- 『 イー、ウー、イー、ウー 』と発声
- 6.舌
- 舌を 1.前に出し、2.口蓋をなめる、3.左右に動かす
食品選別と調理の工夫
一人だけ違う食事をとるのはさびしいことですし、作り手も別の食事を作るのは大変です。 みじん切りや刻み食、あるいはミキサー食にする前に、 まず「家族と同じ食事をとる」ことを基本とし、食品の選び方と調理法を工夫してみましょう。
VE(嚥下内視鏡)検査
細い内視鏡を用いて検査を行います。
外来の診療室だけではなく、持ち運び可能な為、訪問による検査ができます。
検査は鼻からファイバースコープ挿入し、検査用の食べ物や飲み物を飲み込んでいただきます。
その様子を映像で確認しながら、誤嚥していないか咽頭・喉頭の状態を観察します。